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Feb 26 2016
大切な想い
13歳の夏休み、
前橋市へ引っ越す時に一番初めに箱に入れたのは
硯でした。
7歳のときに買ってもらったものです。
書道が得意なわけでも、好きなわけでもありません。
先生の言葉が、
この硯からは聞こえる・・と、思っていたからです。
持ってきた硯と高校生の時修学旅行で購入した墨
全ての言葉を覚えているわけではありませんが、
先生から頂いた言葉を思い出すという、
そんな宝物の時間を過ごすことができるのです。
筆先の跳ねる、止める、勢いよく伸ばす。
これは人生と同じだよ・・と、先生は仰った。
引っ込み思案で、前に出ようとせず、斜に構え、
いつも一人遊びを好む。
そんな私をいつも先生は勇気づけてくれました。
大人になっていく上では、
時には跳ねて転ぶこともあるだろう。
これは痛い経験だね。でも、痛いのを恐れて、
跳ねないほうが残念で、後で痛いだろうね。
勢いがある時は、止まって自分を省みることを
忘れてしまうけれど、上手くいっている時ほど
止まって足元を見つめよう。一呼吸は大切だ。
そして、自分に自信が持ててこれで行くぞ!と
決めたら、真っ直ぐ信念を貫きなさい。
あれから何十年。
この硯に向かうときは、心に疑問をもったとき。
不思議と墨を磨っていると薫りと共に先生の
真っ直ぐな背中を思い出します。
先生から頂いた墨は奈良の「古梅園」のもの。
高校2年の修学旅行で東大寺へ行った時に
桜の柄のものを購入。まだ、使っております。
古い店内を眺めながら、先生を想いました。
ご縁って不思議ですよね。
昨年、お客様からのお土産で40年前に購入
したものと同じ墨を頂き感無量でした。
漆器と、鎌倉彫のミニ習字セット
この小さな手のひらサイズの習字セットは
漆器は自分で、鎌倉彫は母から。
習字は得意でも好きでもないのに、
何故か惹かれるのです。
旅行先から、下手な字でも筆で書いた手紙は
何故か皆様が喜びますね。
多分、知らず知らずのうちに気合が入っている
そんな「気」を皆様が受け取ってくれている・・
そんなことを感じます。
ありがとう、先生。
もう、そんなに時間はないけれど・・・
跳ねる、止まる、勢いよく伸びるを努力します。
そんなことを誓う週末の金曜日でした。
それでは、また。